日本の子どもはなぜ自分たちで学校を掃除するのか――家庭での生かし方

日本の多くの小学校では、ほぼ毎日、学校全体がいったん勉強の手を止めて掃除をします。子どもたちがほうきや雑巾を持ち、教室・廊下・階段を自分たちできれいにします。トイレも掃除する学校が多くあります。日本の学校はなぜこうするのでしょう。ハノイの保護者は、そこから何を学べるでしょうか。私たちは日本人で、ハノイで子どもたちにそろばんを教えています。短く答えると、掃除の時間は学びの一部で、清掃員の代わりではありません。
日本では、学校を自分たちで掃除することが教育課程の一部になっていて、子どもが集団の中で生きる力を学ぶ場になっています。掃除の時間に子どもが学ぶこと:
- みんなの場所は自分の場所でもある
- 任された仕事への責任
- 力を合わせる、上の学年が下の学年に教える
- ほかの人の仕事に気づき、感謝する
- 物を大切にし、散らかさなくなる
- 家では:小さく、決まった、年齢に合う仕事を任せる
日本の学校の掃除の時間は、どんなふうに行われる?
学校では「掃除」や「清掃」の時間と呼ばれます。多くの小学校では、ほぼ毎日、時間割に掃除の時間があり、ふつうは給食と昼休みのあとです。朝に行う学校もあります。
やり方は学校によって違いますが、よくある共通点は次のとおりです。
- 小さな班に分かれ、班ごとに担当の場所を受け持つ。場所は週ごと・学期ごとに交代
- 場所:教室、廊下、階段、昇降口、特別教室、体育館。トイレを掃除する学校も多い
- 先生がそれぞれの場所を担当し、やり方を教え、子どもと一緒に掃除することも多い
- 異学年の班では、6年生が下の学年にほうきの使い方やふき方を教える
- 「無言清掃」で、おしゃべりせずに掃除に集中する学校もある
学期の終わりには、ふだんより念入りな大掃除もあります。掃除の時間が一日のどこにあるのかは、日本の小学生の一日をご覧ください。
掃除の時間は、日本の教育の中でどう位置づけられている?
日本の学校には、教科のほかに「特別活動」(略して「特活」)があります。学級活動、当番活動、給食の配膳、学校行事などです。掃除の時間はここに入ります。
文部科学省の学習指導要領には、清掃などの当番活動を通して、自分の役割を自覚して協働することの意義を理解し、社会の一員として役割を果たす、という内容が書かれています。教師向けの解説ではさらに、学級や学校に貢献していることを子どもが実感できるように指導することが大切だとしています。ただ仕事をこなすだけではない、ということです。
道徳では、1・2年生で「働くことのよさを知り、みんなのために働くこと」や、進んで家の手伝いをして家族の役に立つことを学びます。5・6年生になると、家庭科で住まいの整理・整頓や掃除の仕方を学びます。
「日本の学校は、お金を節約するために子どもに掃除をさせている。」
学習指導要領は掃除を教育活動として位置づけていて、目標があり、先生が指導します。ねらいは責任、協力、集団のために働く気持ちです。
「日本の学校には清掃員がいない。」
学校には職員がいて、窓ガラスや定期清掃、学校によってはトイレを業者に委託しているところも多くあります。教室まわりの毎日の掃除は、子どもたちの仕事です。
自分たちで学校を掃除して、子どもが身につける5つのこと
教室や廊下はみんなのもの。その「みんな」には自分も入っています。
一人ひとりに担当の場所と仕事があります。途中でやめれば、班のみんなにすぐわかります。
はく人、ふく人、ごみを捨てる人。上の学年が下の学年にやり方を教えます。
廊下を自分でふくと、きれいに保つのにどれだけ手間がかかるかがわかり、その仕事をする人に感謝できます。
自分で片づけるとなると、子どもは机やいす、本をていねいに扱うようになりがちです。
これは家でも教えられます。どの家にも、子どもが「自分の担当」にできる小さな場所があります。おもちゃのコーナー、くつ箱、夕食後のテーブルなどです。
何歳から自分で片づけられる? 年齢別の目安
一般的な目安で、基準ではありません。子どもによって違います。ほぼ自分でできることから始めて、少しずつ増やしましょう。
- 3〜4歳物を決まった箱に戻す
絵を貼った箱におもちゃを入れる、自分のお茶わんを流しに運ぶ、汚れた服をかごに入れる、こぼした水をふく。
- 5〜6歳自分の場所を整える
本棚やくつ箱を整える、かばんを自分で準備して片づける、お箸を並べて食後にテーブルをふく、タオルや簡単な服をたたむ。
- 7〜9歳家の中の「担当区域」を持つ
1部屋をはく・ふく、ごみ出し、植物の水やり、洗濯物を干してたたむ、毎晩学習机を片づける。
漂白剤や強い洗剤を子どもだけで使わせたり、高いところに登ってふかせたりしないでください。トイレ掃除をさせるなら、手洗い場をふくなど小さなことから、手袋をして、大人がそばにいるときに始めましょう。
日本の学校式・家で片づけを教える5つのステップ

- 物に「住所」を決める
どこにしまうかわからなければ、子どもは片づけられません。写真を貼った箱、ラベルのついた棚、種類ごとに決まった場所。一度に出す物が少なければ、片づけも早く終わります。
家で始めるなら片づいたときのおもちゃコーナーを写真にとって、壁に貼ります。「片づけたら、この写真と同じにしよう」。
- 短くて決まった「片づけタイム」
日本の学校と同じく、毎日同じタイミングで、短く、終わりがはっきりしていること。たとえば夕食前の5分。タイマーをかけるか歌を1曲流して、曲が終わったらおしまいです。
- 一緒にやる→見守る→任せる
最初の1週間は、保護者が一緒にやり、手順を声に出します。次の週はそばで見ていて、聞かれたときだけ手伝います。言われなくてもできるようになったら、その仕事を子どもに任せます。
家で始めるならいちばん難しいのは保護者の側です。待つこと、代わりにやらないこと。日本人は子どもの自立をどう育てる?もご覧ください。
- 絵のチェック表
3〜5個のマス:おもちゃを箱に、本を棚に、机の上を空に。終わったら子どもが自分で印をつけます。日本の学校にも、掃除のあとに子どもが自分でふり返るカードを使うところがあります。
- したことを具体的にほめる
「えらいね」ではなく、子どもがしたことを言葉にします。「くつをまっすぐそろえたね。玄関がすっきりしたよ」。したことをほめると、次に何をすればいいかが子どもにわかります。「ありがとう」も忘れずに。
目標は、今日きれいな部屋ではなく、明日自分で片づけられる子どもです。
片づけを教えるときにしてはいけないこと
よかれと思ってしても、子どもが片づけを嫌いになってしまう大人の習慣があります。
- 罰として掃除させる(「悪い子は床ふき!」)――子どもは掃除を悪いものとして覚えます。
- 「きれいじゃない」と、子どもの目の前ですぐやり直す――やっても無駄だと学んでしまいます。
- 毎回お金やごほうびをあげる――家の仕事が、ごほうびと交換するものになってしまいます。
- 最初から完璧を求める――5歳の子がたたんだ服がしわしわなのは当たり前です。
直したいときは、一つだけ、次のために。「今度は先に半分に折ってみようか」。日本の学校でも、ほうきの持ち方やふき方を教えてから、子どもに任せます。
そろばんの授業の最後の3分間の片づけ
Kodomo Soroban Center のそろばんの授業は1回60分で、7つのパートに分かれています。6つ目のパートが3分間の「片づけ・整理」です。そろばんを0に戻し、道具を元の場所にしまい、机の上が整っているか確かめてから、終わりのあいさつをします。
3分は短く聞こえます。でも毎回、毎週くり返せば、それは日本の学校の「使ったら片づける」習慣そのものです。机ひとつ分の大きさで。授業のはじめにも3分間の「準備・整理」があり、子どもが自分で道具を出し、決まった場所に置きます。
机の上が片づいていると、集中しやすくなります。Vinhomes Gardenia のセンターでは1クラス3〜5人なので、先生は一人ひとりが自分の場所を片づける様子を見ることができます。
1回の授業の流れと集中力を育てる8つの方法もご覧ください。体験授業は無料です。お問い合わせページから、または電話・Zalo 096.802.8484 でお申し込みください。
よくある質問
日本の小学生はトイレ掃除もするのですか?
多くの学校ではします。班ごとに、交代で行います。ただ、すべての学校ではなく、職員や清掃業者が担当する学校もあります。日本でも、子どもがトイレ掃除をすることについて、衛生や安全の面から注意をうながす意見があります。
日本の学校はなぜ清掃員を雇わないのですか?
実際には、日本の学校にも職員がいて、窓ガラスや定期清掃などを業者に委託しているところも多くあります。毎日の掃除が子どもたちに任されているのは、それが教育課程の中の教育活動だからです。責任感、協力、集団のために働く気持ちを育てます。
子どもは何歳から自分で片づけられますか?
3歳ごろから、大人が一緒なら、おもちゃを箱に戻せます。5〜6歳なら自分の場所(本棚、くつ箱、かばん)を整えられ、7〜9歳なら部屋をはく、ごみを出すなど、決まったお手伝いを受け持てます。あくまで一般的な目安です。できることから始めましょう。
子どもが自分からおもちゃを片づけるようにするには?
物ごとにしまう場所をはっきり決め、毎日決まった5分の片づけタイムをつくり、最初は一緒にやって少しずつ離れ、したことを具体的にほめます。罰として片づけをさせるのはやめましょう。
5Sとは何ですか? 子どもにも使えますか?
5Sは職場を整えるための考え方で、日本の工場から生まれました。整理(いらない物を減らす)、整頓(並べる)、清掃(掃除する)、清潔(きれいを保つ)、しつけ(習慣にする)の5つです。子どもには軽く取り入れれば十分です。使わない物を減らす、物ごとに場所を決める、使ったら片づける、そして毎日くり返して習慣にすることです。
無料体験で、そろばんを試してみませんか
ハノイ・Vinhomes Gardenia のセンターで、1クラス3〜5人、1回60分。日本で教えているのと同じ方法です。電話・Zalo 096.802.8484。




