日本人は子どもの自立をどう育てる? 日本の学校から学ぶ、ベトナムの家庭でも今日から始められる7つの習慣
日本の小学1年生がひとりで歩いて登校し、自分たちで教室を掃除し、靴をきちんとそろえる――そんな姿に、多くのベトナムの保護者は感心しつつも「日本人はどうやって子どもを自立させているの? ハノイでもできるの?」と疑問に思います。私たちは日本人で、2022年からハノイで子ども向けの教室を運営しています。短く答えると、特別な秘訣はありません。あるのは、毎日くり返す小さな習慣と、それをとても早い時期から始めることだけです。この記事では、そのうち7つの習慣と、私たちが教室でどう取り入れているか、そして保護者が今夜から始められる方法を紹介します。
日本人は、3〜5歳から子どもに本物の仕事を任せ、早く済ませるために代わりにやってしまうのではなく、子どもが自分でやるのを待つことで自立を育てます。核になる7つの習慣は、(1) 自分の持ち物は自分で準備して自分で持つ、(2) 何かを始めるときと終わるときにあいさつをする、(3) 自分の場所は自分で片づける、(4) 安全な範囲でひとりで行き来する、(5) 当番――集団の中で役割を持つ、(6) 年齢に合わせた決まったお手伝い、(7) 大人は待つ、代わりにやらない、です。厳しいしつけは要りません。必要なのは一貫性と時間です。
まず、日本語の「じりつ」とはどういう意味?
日本語には「じりつ」が2つあります。自立(じりつ)は、自分の足で立つこと――自分のことを自分でできることです。自律(じりつ)は同じ読みで字が違い、自分で自分を律すること――誰も見ていなくても、やるべきことをやることです。日本の学校はこの両方を目指していて、やり方は同じです。自立について説教をするのではなく、子どもが小さなことをたくさん自分でやらなければならないように一日を組み立てるのです。大人はそばにいますが、代わりにはやりません。この考え方は、以下の7つの習慣すべてに出てきます。
日本の学校から学ぶ、自立のための7つの習慣
- 自分の持ち物は自分で準備し、自分で持つ
幼稚園のころから、日本の子どもは壁に貼られた絵の表を見ながら、ハンカチ、水筒、着替え袋とかばんを自分でそろえます。小学1年になると、時間割を見て教科書やノートを自分で準備します――保護者は確認するだけで、代わりにはそろえません。重いランドセルは子ども自身のものなので、子どもが自分で背負います。
私たちのそろばん教室では:「準備・整理」が授業の中の独立したステップです。子どもは自分でそろばん、鉛筆、プリントを取り出し、決まった場所に置いてから始めます。
家で始めるなら:「学校の持ち物」の絵の表をドアの横に貼り、子どもが自分でそろえます。保護者は「全部そろった?」と聞くだけにします。 - 何をするにも、始めと終わりにあいさつをする
授業は「お願いします」で始まり、「ありがとうございました」で終わります。食事は「いただきます」で始まり、「ごちそうさま」で終わります。こうしたあいさつは、形だけの礼儀ではありません。子どもが自分で気持ちを切り替えるための「スイッチ」です――遊びの時間は終わり、勉強の時間が始まる、と。そのスイッチを自分で入れられる子は、もう一部自立しているのです。
家で始めるなら:勉強に座る前のひとことと、終わったときのひとことを決めて、子ども自身に言わせます。 - 自分の場所は自分で片づける――使ったらすぐに
「整理整頓」は、叱るときの言葉ではなく、本当の技能として教えられます。原則は、物にはそれぞれ置き場所があり、片づけは使い終わったその場で、1〜2分で、次のことを始める前にやる、ということです。私たちの教室では、子どもはそろばんを0に戻し、道具を元の場所にしまい、机の上を確かめてから終わりのあいさつをします――毎回、3年間ずっとです。
家で始めるなら:「部屋を片づけなさい」とは言わないでください(大きすぎます)。「5つの物を元の場所に戻そう」と言って、そばで待ちます。 - 安全な範囲で、ひとりで行き来する
日本の小学生はグループで歩いて登校し、交差点には地域の大人が立っています。学ぶべきなのは「子どもをひとりで行かせる」ことではありません――ハノイの交通は日本とは違います――そうではなく、子どもが自分で決められる範囲を少しずつ広げていくことです。門から教室まで自分で行く、保護者が外で待つ間に近所の店でひとつ買い物をする、同じ建物の友だちの家までエレベーターで自分で行き来する。子どもがひとりでできることが一つ増えるたびに、自立の輪は少しずつ広がります。
- 当番:集団の中で役割を持つ
日本の学校では、子どもたちが自分たちで教室を掃除し、給食を配り、廊下をふきます――グループで、当番表に沿って、具体的な役割を持って(今日はこの子がおしぼりを配り、あの子が黒板をふく)。子どもは、自分が集団にとって必要な一員であり、集団がうまく回るのは自分がいるからだと学びます。
家で始めるなら:家族の食事の中で、子どもに決まった「役」を一つ持たせます――お箸を並べる、テーブルをふく――そして、家族がその仕事を本当に子どもに頼るようにします。 - 年齢に合わせた、決まったお手伝い
「お手伝い」は日本の子ども時代の一部です。3歳で自分のお茶わんを流しに運び、5歳で自分の服をたたみ、7歳で洗濯物を干し、9歳で簡単な料理を作ります。お金のごほうびはあげません。それは家族の一員としての仕事であって、サービスではないからです。大切なのは決まっていることです。同じ仕事を毎日、習慣になるまで続け、それから新しい仕事を足します。
- 大人は待つ――代わりにやらない
これがいちばん難しい習慣で、子どもではなく保護者の習慣です。5歳の子がボタンをとめるのに3分かかります。大人がやれば10秒です。日本人は3分の方を選びます。そろばん教室で子どもが珠を間違えて動かしても、先生は代わりに動かしません。「珠は足りている?」と問いかけて、待ちます。大人が代わりにやるたびに、子どもは「自分にはできない」「誰かがやってくれる」と学びます。大人が待つたびに、子どもはその反対を学びます。
「日本式の子育て」についてのよくある誤解
- 「日本人は子どもにとても厳しい。」 実は日本の子どもは3歳までかなり甘やかされています。「厳しさ」は罰からではなく、習慣が一貫して守られることから来ています。日本人は人前で大声で叱ることはあまりありません。かがんで、小さな声で話し、くり返します。
- 「日本の子どもが自立しているのは学校が教えるから。」 学校と家が、同じことを同じやり方でしているのです。学校では自分で靴をそろえても、家に帰るとおばあちゃんがそろえてしまうなら、習慣は身につきません。方法よりも一貫性の方が大切です。
- 「小さいうちに始めないと、大きくなってからでは遅い。」 早く始める方が簡単ですが、8〜10歳の子でも、任せることがはっきりしていて小さく、大人が根気よく待てば、3〜4週間で新しい習慣を作れます。
- 「自立とは、子どもがひとりで何でもやること。」 日本式の自立は、いつも集団とセットです。自分のことを自分でするのは、ほかの人に迷惑をかけないためであり、グループに貢献するためです。だから、当番やお手伝いは、自分で服を着ることと同じくらい大切なのです。
家で始めるための4週間のスケジュール
| 週 | 習慣 | 具体的にやること(各週1つ選ぶ) | 保護者がやること |
|---|---|---|---|
| 1 | あいさつ+準備 | 勉強のときに始めと終わりのひとことを子どもが言う/絵の表を見てかばんを自分でそろえる | 最初の2日はお手本を見せ、その後は「全部そろった?」と聞くだけ |
| 2 | すぐに片づける | おもちゃ・教科書やノートを使ったらすぐ元の場所に戻す、2分 | そばに立って待つ、代わりに持たない |
| 3 | 決まったお手伝い | 食事のときの仕事を一つ(お箸を並べる、テーブルをふく)毎日 | 本当に子どもに任せる。「ありがとう」と言い、ほめすぎない |
| 4 | 範囲を広げる | 家の外で子どもが自分でやることを一つ:自分でひとつ買い物の支払いをする、門から教室まで自分で行く | 毎回、少しずつ離れたところに立つ |
4週間たっても、すぐに新しいことを足さないでください。この4つの習慣を、さらに4週間続けます。日本では、1か月間、言われなくてもできるようになったとき、その習慣は「その子のもの」になったと考えます。
なぜ私たちはそろばん教室でこうしたことを教えるのか?
日本の多くの保護者は、まず学ぶ姿勢のために、そして計算の速さのために、子どもにそろばんを習わせます。日本式のそろばんの授業は60〜70分で、その中で子どもは自分で道具を準備し、あいさつをし、正しい姿勢で座り、時間を計って問題を解き、自分で結果を記録し、自分で片づけて終わりのあいさつをします。つまり、上の7つの習慣のうち5つを、同じようにがんばるほかの子どもたちと一緒に、毎週、3年間くり返すのです。私たちはこの授業の組み立てをそのまま愛知からハノイに持ってきました。数か月たって、ベトナムの保護者が最初に気づくのは、たいてい子どもの計算が速くなったことではなく、教室に入るときに子どもが自分で靴をそろえるようになったことです。1回の授業の流れと私たちが日本式の教え方を選んだ理由もご覧ください。
よくある質問
日本人は何歳から子どもの自立を育てるのですか?
2〜3歳から、ごく小さなことで始めます。自分のお茶わんを流しに運ぶ、自分で靴をそろえる、自分で上着を脱ぐ、などです。年齢とともに少しずつ増え、小学1年(6歳)になると、自分でかばんの準備をし、グループで歩いて登校し、当番にも加わります。
日本式の子育てには厳しさが必要ですか?
怒鳴ったり罰を与えたりするという意味では、必要ありません。日本人が「厳しい」のは一貫性においてです。同じ習慣を毎日、学校でも家でも続け、大人は代わりにやらずに子どもが自分でやるのを待ちます。声は小さく、くり返し、根気よく。
日本の子どもが自立しているいちばんの理由は何ですか?
早いうちから本物の仕事を任され、待ってもらえることです。学校は、子どもが小さなことをたくさん自分でやらなければならないように一日を組み立て(準備、片づけ、当番)、家庭も家で同じやり方を続け、大人は早く済ませるために代わりにやったりしません。
8〜9歳から始めても遅くありませんか?
遅くありません。8〜10歳の子でも、任せることがはっきりしていて小さく、保護者が一貫していれば、3〜4週間で新しい習慣を作れます。まず一つの習慣から始め、1か月続けてから次を足しましょう。
そろばんを習うと、子どもはもっと自立しますか?
日本式のそろばんの授業は、子どもが自分で準備し、あいさつをし、正しい姿勢で座り、自分で結果を記録し、自分で片づけるように組み立てられていて、それを毎週、3年間くり返します。保護者は数か月で、計算が速くなったと感じるより先に、家で子どもが自分から動くようになったことに気づくことが多いです。
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