子どもの暗算が速くなるコツ:たし算・ひき算・かけ算と、そろばんの力がコツより長く続く理由

子どもの暗算を速くしたくて、コツを探す保護者はたくさんいます。「9をたすときは10をたして1をひく」「×5は×10して半分にする」……。コツはとても役に立ちますし、子どもも「魔法みたいに速い!」と喜びます。私たちは日本人で、ハノイで子どもにそろばんを教えています。まずお伝えしたいのは、コツがいちばん生きるのは、子どもに「数の感覚」――10のまとまりと、十の位・一の位がわかる力――があるときということです。

暗算のコツは、10のまとまりと十の位・一の位がわかっている子なら、式の形ごとに計算を速くしてくれます。
- たし算:10をつくる、きりのいい数にしてからひく、位ごとにたす
- ひき算:たし算で考える、きりのいい数をひいてからもどす
- かけ算:×5は×10して半分、×9は×10して1回分ひく
- コツは1週間に1つ、練習は1日5〜10分
- 口で言う→書く→頭の中だけで、の順に
- そろばんはどんな数でも同じやり方で暗算できる力。コツを長く使える土台になる
コツを覚える前に:どんな土台が必要?
暗算のコツの多くは、同じことをしています。むずかしい式を、きりのいい数の式に変えることです。だから、先に次の3つが必要です。
- 10の友:「7」と聞いたらすぐ「3」、「4」と聞いたらすぐ「6」が浮かぶ。
- 数を分ける:5は2と3、8は5と3、とわかる。
- 十の位・一の位:47を見て、10が4つと1が7つだとわかる。
ここでまだつまずいているなら、小学1年の子に速い暗算を教える方法で土台から練習しましょう。土台がしっかりしていれば、なぜそのコツで答えが出るのかがわかるので、コツは自然に身につきます。
どのコツを何年生で? ベトナムの小学校では、1〜2年はたし算・ひき算が中心です。ベトナムの2018年版一般教育課程では、2年で2と5の段からかけ算に入り、3年で残りの段を学びます。この目安でコツを選ぶとよいでしょう。
- 1〜2年たし算・ひき算のコツ
10をつくる、位ごとにたす、たし算で考えるひき算。小さい数から始めて、それから2けたの数へ。
- 2〜3年かけ算のコツ
×5、×9、×4。かけ算が「同じ数のまとまりがいくつか」だとわかってから。
- もっと大きい子「上級」のコツ
2けたの数×11、一の位が5の数の2乗。九九を覚えた子が、手品のように楽しむためのものです。
たし算の暗算が速くなるコツ
小さい数から始めましょう。どのコツにも、親子で一緒にやってみる例をつけました。子どもが1つずつ口に出し、保護者は質問するだけで大丈夫です。
8 + 5 = 8 + 2 + 3 = 10 + 3 = 13。8はあと2で10になるので、5を2と3に分けます。くり上がりのあるたし算に。
47 + 38 = 47 + 40 − 2 = 87 − 2 = 85。38は40に近いので、40をたしてから、たしすぎた2をひきます。
34 + 25 = (30 + 20) + (4 + 5) = 50 + 9 = 59。十の位どうし、一の位どうしをたしてから合わせます。
6 + 7 = 6 + 6 + 1 = 12 + 1 = 13。6 + 6 = 12 のような同じ数どうしのたし算は、子どもがすぐ覚えることが多いもの。あとは1をたすだけです。
じつは「きりのいい数にしてからひく」は、そろばんで子どもの手がしていることそのものです。8をたしたいのに一の位に入れる珠が足りないとき、十の位に1を入れて2をはらいます。8と2は「10の友」だからです。たし算のコツはどれも、むずかしい式をきりのいい数か、もう覚えている式に変えています。
ひき算の暗算が速くなるコツ
ひき算はたし算よりむずかしいと感じる子が多いものです。次の3つのコツで、むずかしいところを避けられます。
- たし算で考える。13 − 8 なら「8にいくつたすと13?」。8に2で10、さらに3で13。だから答えは 2 + 3 = 5。
- きりのいい数をひいてから、もどす。63 − 28 = 63 − 30 + 2 = 33 + 2 = 35。30をひくと2ひきすぎるので、2をたしてもどします。
- 10からひく。15 − 7 = (10 − 7) + 5 = 3 + 5 = 8。10から7をひいて、残りと一の位の5を合わせます。
2つめのコツは、記号をまちがえやすいところです。ひきすぎたら、さらにひくのではなく、たしてもどします。頭の中だけでやる前に、「2ひきすぎたから、2もどす」と何度か声に出させましょう。
ひき算は家のことをしながらでも練習できます。おもちゃを片づけるときに「積み木が14こあって、9こしまったよ。あといくつ?」と聞いてみましょう。子どもは「9に1で10、さらに4で14。だから、あと5こ」と考えます。
かけ算の暗算が速くなるコツ
かけ算のコツは、かけ算が「同じ数のまとまりがいくつか」だとわかり、やさしい段をいくつか覚えてから教えましょう。九九を練習中なら、九九を早く覚えるには?もご覧ください。
| コツ | 例 | 考え方 |
|---|---|---|
| ×5 | 16 × 5 = 160 ÷ 2 = 80 | ×10(0を1つつける)してから半分に。5は10の半分だからです。 |
| ×9 | 7 × 9 = 70 − 7 = 63 | ×10してから、その数を1回分ひく。7 × 10 = 70 から7をひきます。 |
| ×4 | 13 × 4:13 × 2 = 26、26 × 2 = 52 | 2倍して、もう一度2倍。4 = 2 × 2 だからです。 |
| ×11(2けたの数) | 23 × 11 = 253 | 2と3を両はしに置き、まん中に 2 + 3 = 5 を入れます。 |
| ×11(たした数が10以上のとき) | 57 × 11 = 627 | 5 + 7 = 12:まん中に2を書き、1を左の数にくり上げて 5 + 1 = 6。 |
| おまけ:一の位が5の数の2乗 | 35 × 35 = 1225 | 十の位の数に、その次の数をかける:3 × 4 = 12。そのうしろに25をつけます。 |
新しいコツを覚えたら、最初は別のやり方でも確かめさせましょう。たとえば 16 × 5 を、たし算 16 + 16 + 16 + 16 + 16 = 80 で。同じ答えになるのを自分で確かめると、子どもはコツを信じられ、長く覚えていられます。
暗算のコツは、どう練習すると身につく?
コツは知っているだけでは足りません。考えなくても使えるようになることが大切です。私たちが保護者によくおすすめしている練習のしかたです。
- 1日5〜10分
短く、毎日。まだやりたいと思っているうちにやめると、次の日も楽しみに戻ってきます。
- 1週間に1つのコツ
1週間は1つのコツだけを、いろいろな数で練習します。次の週に新しいコツへ。ときどき前のコツも復習しましょう。
- 口で言う→書く→頭の中だけで
週のはじめは1つずつ声に出して(「8はあと2で10……」)、週のなかばは式を紙に書き、週の終わりに頭の中だけで計算します。
- プリントとオンラインのツールで練習
無料の練習プリントを印刷して毎日少しずつ解いたり、オンライン暗算練習ツールを小さい数で試したりしましょう。

コツを教えるときに避けたい3つのこと:
- 理由がわからないまま、公式だけ覚えさせる。丸暗記したコツは忘れやすく、まちがえても自分で確かめられません。
- 最初から時間を計る。正しく、それから速く。時間に追われると、指で数えたり当てずっぽうで答えたりする方に戻りがちです。
- 一度にたくさんのコツを教える。コツどうしがまざってしまいます。なんとなく知っている5つより、手になじんだ1つのほうが役に立ちます。
考えなくても使えるようになって、はじめてそのコツはその子のものになります。そのときは、速さだけでなく、考え方もほめてあげてください。
暗算のコツとそろばん:何がちがう? どう組み合わせる?
暗算のコツと、そろばんを使う日本式の暗算(anzan)は、対立するものではありません。ちがうのはやり方です。
そろばんの暗算
- どんな数でも同じやり方:頭の中にそろばんを思いうかべ、珠を動かす
- コツを選ぶ必要がない。どの式も同じ手順で進む
- 何けたもの数まで伸ばしていける
- 先に本物のそろばんで、しっかり練習する時間が必要
暗算のコツ
- 1つのコツは、1つの形の式のためのもの(×5、×9、×11……)
- 形が合えば、とても速い
- 式の形を見分けてコツを選ぶので、はじめは少し時間がかかる
- 数日で覚えられ、道具もいらない
2つはおたがいを補い合います。そろばんを習う子は、何百回も珠を動かすうちに「10の友」や十の位・一の位に慣れているので、コツに出会ったとき、なぜ答えが出るのかをすぐ理解しやすいのです。コツはよい道具。数の感覚と頭の中のそろばんという土台があると、コツも速く確かに使えます。
日本の子どもが頭の中のそろばんで暗算するしくみは、日本式の暗算(anzan)とは?でくわしく紹介しています。
Kodomo Soroban Center(ハノイ・Vinhomes Gardenia)は1クラス3〜5人、1回60分の授業で、マス計算・そろばん・暗算・フラッシュ暗算に取り組みます。会員の生徒は、家で会員コードを使ってそろばん練習ルーム(ベトナム語)に入り、フラッシュ暗算や九九の練習もできます。
1回の授業の流れとセンターの時間割もご覧ください。体験授業は無料です。お問い合わせページから、または電話・Zalo 096.802.8484 でお申し込みください。
よくある質問
小学1年の子に暗算のコツを教えてもいいですか?
はい。「10の友」を覚えていれば、10をつくる(8 + 5 = 8 + 2 + 3 = 13)や位ごとにたす、といったやさしいコツから始められます。コツは1つずつ、やり方を声に出させ、最初は時間を計らないようにしましょう。かけ算のコツは、2〜3年でかけ算を習ってからがおすすめです。
指を使って暗算するのは、よくないですか?
心配いりません。たし算・ひき算を習いはじめたころは特にそうです。指は数の量をつかむ助けになり、片手はそのまま「5のまとまり」です。「10の友」を覚え、数を分けられるようになったら、指を禁止するのではなく、数をまとまりで見る練習に少しずつ移りましょう。
×11のコツとは何ですか?
2けたの数なら、2つの数字を両はしに置き、まん中にその2つをたした数を入れます。23 × 11 なら 2 + 3 = 5 で、253。たした数が10以上のときは、まん中に一の位の数字を書き、1を左の数字にくり上げます。57 × 11 なら 5 + 7 = 12 で、627。このコツは2けたの数だけに使えます。
コツを使わずに暗算を速くするには?
数の感覚という土台をつくりましょう。「10の友」を覚える、数を分けたり合わせたりする、十の位・一の位がわかる、そして毎日5〜10分練習する。そろばんもその方法のひとつです。頭の中のそろばんの像で計算するので、どんな数でも同じやり方で暗算できます。
日本式の暗算と、暗算のコツはどうちがいますか?
暗算のコツは、×5や×11のように、式の形ごとに決まったやり方です。日本式の暗算(anzan)は、頭の中にそろばんを思いうかべて珠を動かすので、何けたの数でも、どんなたし算・ひき算にも使えます。私たちの経験では、そろばんに慣れた子は、珠で10のまとまりを「見て」いるので、コツもすぐ理解することが多いです。
無料体験で、そろばんを試してみませんか
ハノイ・Vinhomes Gardenia のセンターで、1クラス3〜5人、1回60分。日本で教えているのと同じ方法です。電話・Zalo 096.802.8484。




