七田式・モンテッソーリ・公文式・そろばん:4つの教育法はどう違う?

子どもが小さいうちは、七田式、モンテッソーリ、公文式、そろばん……とたくさんの名前を耳にして、どこから始めればいいか迷うものです。私たちはハノイで5歳からの子どもにそろばんを教えている日本人です。そこでこの記事では、それぞれの方法を、その方法自身の説明どおりに紹介します。短い答えは、どの子にとっても一番という方法はなく、子どもの年齢と、家族が何を育てたいかで選ぶということです。

4つの方法は、それぞれちがう問いに答えているので、順位はつけられません。
- モンテッソーリ(イタリア):子どもが自分で活動を選び、先生は見守る
- 七田式(日本):フラッシュカード・暗唱、保護者も一緒に学ぶ
- 公文式(日本):毎日プリントを自分で解き、少しずつ進む
- そろばん(日本):珠を動かし、やがて頭の中のそろばんで暗算
- 子どもの年齢・性格と、家族の時間で選ぶ
- 決める前に、必ず体験してみる
幼児教育の4つの方法:それぞれの「問い」
この4つは、まず「何に答えようとしているか」がちがいます。
「どうすれば自分でできるようになる?」整えられたクラスで、子どもが自分で活動を選びます。0〜3歳、3〜6歳のクラスがあります。
「どうすれば早いうちから力を引き出せる?」フラッシュカード、暗唱、保護者も一緒に教室へ。0歳6か月から。
「どうすれば毎日自分で学べる?」ちょうどの段階から、少しずつむずかしくなるプリント。幼児から。
「どうすれば数がわかり、暗算できる?」珠を動かし、やがて頭の中にそろばんを思いうかべる。ふつう5歳から。
算数の教室どうしを比べるなら、日本の「思考力の算数」とは?とそろばんとフィンガーマス、どちらを習う?をご覧ください。この記事はもっと広く、小さな子どもの育て方についての4つの考え方を扱います。算数だけの話ではありません。
モンテッソーリ教育とは?
マリア・モンテッソーリはイタリアの人で、1896年、イタリアで最初期の女性医師のひとりになりました。1907年1月6日、ローマの貧しい労働者の地区サン・ロレンツォに、最初の「子どもの家」(Casa dei Bambini)を開きました。
国際モンテッソーリ協会(AMI)によると、モンテッソーリは、子どもは合った環境にいれば自分で学んでいけることに気づきました。おもな考え方は次のとおりです。
- 整えられた環境:低い棚、手に合った道具、ものにはそれぞれの置き場所。
- 子どもが自分で選ぶ:先生は見守り、必要なときだけ手を貸す。
- 異年齢のクラス:大きい子と小さい子が同じクラスで学ぶ。
- 敏感期:ことば・運動・秩序など、あることに強く引きつけられ、深く集中する時期がある。
モンテッソーリのクラスでは、大人は代わりにやってしまわず、子どもが自分でするのを待ちます。これは日本人が子どもの自立を育てる方法にもよく似ています。
家でできるモンテッソーリ教育
米国モンテッソーリ協会(AMS)は、こんなことを勧めています。おもちゃは少なめにして、子どもの目の高さの低い棚に置く。おもちゃの道具ではなく、小さいサイズの本物の道具(台所用品・ふきん・小さなほうき)を使わせる。ことばは少なめに、ゆっくりやって見せてから、子どもに自分でやらせる。
「モンテッソーリ」と名のつく園を選ぶときは、クラスを見学して、子どもが自分で活動を選べているか、先生が辛抱強く待っているかを見てみましょう。
七田式教育とは?
七田式は、島根県出身の七田眞(しちだ・まこと、1929〜2009年)が築いた教育法です。七田式によると、七田眞は1958年から幼児教育の研究を重ね、七田式の会社は1978年に設立されました。
七田式が大切にしている言葉は「認めてほめて愛して育てる」です。幼児コースは0歳6か月から6歳までで、1回50分、保護者も一緒にレッスンに参加します。

よく行われる取り組み:
- フラッシュカード:絵や文字のカードを、たくさん、とても速く見せる。
- ドッツ:点のカードで、量にふれる。
- 暗唱:何度も聞き、読み、くり返して唱える。
- イメージあそび:ある場面を頭の中にはっきり思いうかべる。
七田式では、親子のきずなが大切な鍵とされ、保護者は家での取り組み方も教わります。
七田式のデメリットは? 保護者が考えておきたいこと
七田式は、この方法が子どもの「右脳」を育てるとしています。しかし、脳神経科学の研究者は、左右の脳はいつも一緒に働いていて、「右脳だけをきたえる」ことができるという証拠は今のところない、としています。
また、教室でも家でも保護者の参加が必要です。時間のある家庭には向いていますが、忙しい家庭にはむずかしいかもしれません。そしてこの年齢では、自由に遊ぶこと、体を動かすこと、よく眠ることも、早く学ぶことと同じくらい大切です。
公文式とそろばん:日本生まれの2つの算数の学び方
公文式:プリントで、少しずつ自分で進む
公文式は1954年、高校の数学の先生だった公文公(くもん・とおる)が、小学2年生の息子のためにプリントを作ったことから始まりました。1958年には大阪に事務所が開かれ、今の公文の土台になりました。
公文式によると、一人ひとりが「ちょうどの段階」から始め、毎日プリントを解いて、少しずつむずかしいプリントへ進みます。幼児(3歳ごろ)から始められ、ベトナムでは算数・数学と英語を教えています。公文式(KUMON)とは?とそろばんと公文式、どちらがいい?もご覧ください。
そろばん:手の中のそろばんから、頭の中のそろばんへ
私たちはそろばんを教えているので、ここがいちばんよく知っている部分です。そろばんは日本の計算の道具です。子どもは珠で数を目で見て、指で珠を動かし、やがて頭の中にそろばんを思いうかべて暗算(anzan)します。「頭の中のそろばん」を学んだ子は、速く正確に計算できます(Stigler, 1984)。
そろばんには「フラッシュ暗算」もあります。画面に数字が次々に出て、それを暗算でたしていきます。七田式のフラッシュカードと似て聞こえますが、目的は計算で、絵を覚えることではありません。
私たちのセンターでは1クラス3〜5人で、60分の授業を7つの短いパートに分けています(1回の授業の流れ)。そろばんは、モンテッソーリのようにことばや身の回りのことを教えるものではなく、数と集中力、学ぶ習慣に焦点をあてています。
4つの教育法の比較表
それぞれの方法自身の説明をもとにまとめました。年齢は教室によって違うことがあります。
| モンテッソーリ | 七田式 | 公文式 | そろばん | |
|---|---|---|---|---|
| 始める年齢 | 0〜3歳・3〜6歳のクラスがある | 0歳6か月 | 3歳ごろ | ふつう5歳 |
| 育てるもの | 自立・集中 | 七田式によると:記憶力・語彙力・想像力 | 自分で学ぶ習慣・正確な計算 | 数の感覚・暗算・集中力 |
| 学び方 | 子どもが活動を選び、先生は見守る | フラッシュカード・暗唱・イメージ | 少しずつむずかしくなるプリント | そろばん → 頭の中のそろばん |
| どこで | おもに園・学校 | 教室+家 | 教室+毎日のプリントを家で | 教室+家で短い練習 |
| 保護者 | 自分でさせて、辛抱強く待つ | 一緒に教室へ | 毎日のプリントの習慣を守る | 練習の声かけ・はげまし |
幼児教育でよくある思いこみ
「早く始めるほど、天才になる」
子どもはそれぞれのペースで育ちます。0〜6歳では、遊び・体を動かすこと・十分な睡眠・大人との会話が土台で、どの方法もその一部にすぎません。
「ひとつの方法で、なんでも育つ」
それぞれに得意なことがあります。モンテッソーリは自立、七田式は親子のきずな、公文式は自分で学ぶ習慣、そろばんは数です。
「いくつも同時に習えば、早く伸びる」
どの方法も、こつこつ続けることが必要です。重なると、子どもは疲れてやる気をなくしやすくなります。
どの方法を選べばいい?
- 何歳?方法によって、クラスのある年齢がちがいます。上の表を見てください。
- 何が好き?自分で探検するのが好き? 紙と鉛筆で静かに取り組むのが好き? さわって数えながらクラスのリズムで進むのが好き? 保護者と絵を見たりお話を聞いたりするのが好き?
- 保護者の時間は?七田式は保護者も教室へ、公文式は毎日のプリント、そろばんは教室に通い、家で短く練習します。
- 体験した?体験のあと、楽しそうか、また行きたがっているかを見てください。
私たちはそろばんを教えていますが、ほかの方法のほうがその子に合っていれば、それもよい答えです。いちばん合う方法は、子どもが楽しく長く続けられる方法です。5歳の子は何を習えばいい?もご覧ください。
そろばんを試してみたいなら、ハノイの Vinhomes Gardenia にあるセンターの体験授業は無料です。時間割を見て、お問い合わせページから、または電話・Zalo 096.802.8484 でお申し込みください。
よくある質問
七田式教育とは? よい方法ですか?
七田眞が築いた日本の幼児教育で、フラッシュカード・暗唱・イメージあそびを使い、保護者も一緒に学びます。よいかどうかは、子どもと家庭によります。子どもが楽しめて、保護者が参加する時間をとれるなら、選択肢のひとつになります。まずは体験してみましょう。
七田式のデメリットは何ですか?
七田式は、この方法が子どもの「右脳」を育てるとしています。しかし、脳神経科学の研究者は、左右の脳はいつも一緒に働いていて、「右脳だけをきたえる」ことができるという証拠は今のところない、としています。また、教室でも家でも保護者の参加が必要で、小さな子どもには遊ぶ時間と眠る時間もたっぷり必要です。
モンテッソーリ教育は家でもできますか?
かんたんな形でならできます。おもちゃは少なめにして低い棚に置き、小さいサイズの本物の道具を使わせ、ゆっくりやって見せてから自分でやらせます。水をそそぐ、机をふく、片づける、などです。たくさん買いそろえる必要はなく、いちばん大切なのは、大人が辛抱強く待つことです。
どの方法から始めればいいですか?
すべての子に正しい順番はありません。その子の年齢のクラスがあるか、どんな学び方が好きか、家族が続けられるペースか、を見てください。とても小さいうちは、保護者と遊んだり話したりするだけでも、よいスタートです。
いくつもの方法を同時に習わせてもいいですか?
ふつうは2つまでにしましょう。どの方法もこつこつ続けることが必要で、たくさん重ねると、子どもは疲れてやる気をなくしやすくなります。増やしたいときは、足すのではなく、今の教室と入れかえることを考えてみてください。
無料体験で、そろばんを試してみませんか
ハノイ・Vinhomes Gardenia のセンターで、1クラス3〜5人、1回60分。日本で教えているのと同じ方法です。電話・Zalo 096.802.8484。




