日本式の暗算(anzan)とは? 日本の子どもが「頭の中のそろばん」で計算するしくみ

日本の子どもが目を閉じ、指先を空中で小さく動かして、長い数字の列の答えをすぐに言う――そんな動画を見たことはありませんか。それがanzan、日本式の暗算です。私たちは日本のこどもスクール(1976年〜)の方法でそろばんを教えていて、ハノイでは2022年から教室を開いています。最初にお伝えしたいのは、暗算は魔法や生まれつきの才能ではなく、段階をふんで練習するイメージの技能だということです。

暗算(anzan)とは、頭の中にそろばんを思いうかべ、想像の珠を「はじいて」計算することです。
- 頭の中で唱えるのではなく、珠の形を見る
- 3つの段階:本物のそろばん → 指だけ → 頭の中だけ
- 土台は「5の友」と「10の友」を覚えること
- フラッシュ暗算:画面に次々出る数を頭の中で足す
- KSCでは:4回目の授業から暗算、6回目からフラッシュ暗算
- 2桁の暗算:ふつうはレベル0(16回)を終え、家でも練習してから
暗算(anzan)とは?
日本語の暗算(anzan)は、紙や鉛筆を使わずに頭の中で計算することです。そろばんを習う子どもの場合は、もっとはっきりした意味になります。頭の中のそろばんで計算することです。
そろばんは日本の計算道具で、1つの桁に、上に5の珠が1つ、下に1の珠が4つあります。0から9までの数には、それぞれただ一つの珠の形があります。手で何百回も数を置くうちに、子どもはその形を、よく知っている人の顔のように覚えます。くわしくはそろばんとは?をご覧ください。
暗算をするときは、頭の中にそろばんを思いうかべ、最初の数を「置き」、次の数を本物のそろばんと同じように「はじき」ます。答えは珠の形になって現れるので、それを読むだけです。計算は、数を一つずつ唱えることではなく、イメージを動かすことになります。
日本式の暗算は、ふつうの暗算とどう違う?
多くの人は、言葉で暗算をします。「7たす5は12」と頭の中で唱え、覚えておいて、また次を唱えます。暗算(anzan)は別の道を通ります。
そろばん式の暗算――イメージで計算
- 頭の中に珠が見える
- 一の位・十の位・百の位がそれぞれ別の桁
- 答えが「現れる」ので、読めば終わり
- 桁の多い数まで伸ばしていける
ふつうの暗算――言葉で計算
- 一つずつ頭の中で唱える
- 「くり上がりの1」を自分で覚えておく
- 数が長くなるほど遅くなる
- 途中で答えを忘れやすい
2つのやり方は、どちらか一方を選ぶものではありません。暗算(anzan)は、数をより速く確かに扱うための道具が一つ増える、ということです。小学1年生でまだそろばんを習っていないなら、小学1年の子に速い暗算を教える方法にある「5の点の図」での暗算が、よい足がかりになります。
日本の子どもが暗算を身につける3つの段階
日本の子どもは、前の段階を土台にして、3つの段階を順に進みます。
- 段階1本物のそろばん
そろばんの上で、親指と人さし指を使って、手で数を置き、たし算・ひき算をします。何百回も珠をはじくうちに、手が「5の友」「10の友」を覚えます。
- 段階2指だけ
そろばんをしまい、空中や机の上で珠をはじくように指を動かし、想像の珠を目で追います。指の動きが、イメージが流れて消えないように支えます。
- 段階3頭の中だけ
手は止まり、頭の中で珠が動きます。それでも指が小さく動く子は多く、まったく心配いりません。
速さより順番が大切です。頭の中のイメージは、本物のそろばんに十分になれてはじめて、はっきりします。だから日本では、暗算をそろばんと切りはなして教えることはしません。
Kodomo Soroban Centerでは、4回目の授業から、ごく小さな数で暗算を始めます。毎回の授業で、暗算は本物のそろばんでの練習のすぐあとに行います。
フラッシュ暗算とは?
フラッシュ暗算は、画面を使った暗算の練習です。数字が一つずつ表示され、ほんの一瞬で消えていきます。子どもは頭の中で足していき、最後に合計を言います(または入力します)。
数字は一瞬しか出ないので、頭の中で唱えている時間はなく、珠のイメージを使うしかありません。だからフラッシュ暗算は、いつも本物のそろばんを使った暗算のあとに練習します。イメージが先、速さはあとです。

KSCでは、6回目の授業からフラッシュ暗算を練習します。家では、無料のオンライン暗算練習ツールを使ってみてください。1桁・3口・1秒から始め、5回続けて正解したら、まず口数を増やし、そのあとで速さを上げます。
暗算について、研究でわかっていること
信頼できる研究の結果をいくつか紹介します。
- 「頭の中のそろばん」を学んだ子は、速く正確に計算できる(Stigler, 1984)。
- 頭の中のそろばんはイメージである。学ぶ人は数を、頭の中で唱える言葉ではなく、珠の形として保っている(Frank & Barner, 2012)。
- 熟達した人は、はるかに長い数字の列を覚えられる(Hatano & Osawa, 1983)。
- インドで5〜7歳を対象にした3年間の実験で、算数と位取りの理解に明らかな伸び(Barner ほか, 2016)。
ただし、はっきり言っておきたいこともあります。暗算のいちばんはっきりした効果は計算と数の理解であり、それも毎日続けて練習したときに表れるということです。よくある誤解を見てみましょう。
「暗算を習えば、子どもが神童になる。」
研究で効果がはっきりしているのは、計算と数の理解です。私たちはそれ以上のことは約束しません。保護者がよく気づくのは、子どもが数に自信を持つようになることです。
「才能のある子しかできない。」
暗算は練習で身につく技能です。段階をきちんとふめば、小さな数の暗算はどの子もできるようになります。違うのは、進む速さだけです。
「暗算を習うと、学校の計算のしかたを忘れる。」
学校では、ほかの子と同じように筆算をし、式を書きます。そろばんは書くときと同じように数を左から右へ置くので、2つのしくみを覚える必要はありません。
「最初からとにかく速く暗算しなければ。」
正確さが先、速さはあとです。イメージがまだはっきりしないうちに速さを求めると、子どもは数えることや唱えることに戻ってしまいます。
家でできる暗算の練習:5つのステップ、1日10分
保護者がそろばんを得意である必要はありません。大切なのは順番だけです。1つのステップを数日続け、子どもが楽にできるようになってから次へ進みます。
- まず「5の友」と「10の友」を覚える
5の友:1と4、2と3。10の友:1と9、2と8、3と7、4と6、5と5。どちらも、子どもの手がそろばんの上で使う決まりです。これがないと、頭の中のイメージが「止まって」しまいます。
家で始めるなら毎日1分の早口クイズ:保護者が「7!」と言ったら、子どもが「3!」と答えます。考えずに答えられたら準備完了です。
- 形を見て、数を言う
保護者がそろばんに0〜9のどれかの数を置き、1秒見せてからかくします。子どもはその数を言います。次は役を交代して、保護者が数を言い、子どもがすばやく置きます。
- 保護者が数を読み上げ、子どもは本物のそろばんではじく
1桁の数を3つ、ゆっくり読みます(例:「2、5、1」)。子どもは足していき、答えを言います。はっきり、一定のリズムで読み、せかさないでください。
- 指だけで「空中そろばん」
そろばんをしまいます。子どもははじくときの手の形で、机の上の想像のそろばんを見ながら、同じく1桁の数を3つ足します。まちがえたら、本物のそろばんに何回か戻ります。
- 目を閉じて、頭の中だけで
同じ問題を、目を閉じて解きます。5回続けて正解したら4つ目の数を足し、次に5つ目を足します。そのあとで、オンラインツールでのフラッシュ暗算に進みます。
まだそろばんの基礎がない場合は、家でのそろばんの学び方を読み、無料の練習プリントも印刷してみてください。毎日10分のほうが、週末の1時間よりずっと効果があります。
どのくらいで暗算ができるようになる?
進む速さは子どもによって違いますが、Kodomo Soroban Centerでは、目安はおおよそ次のとおりです。
2桁のたし算・ひき算の暗算には、ふつうレベル0(16回)を終えることと、家での毎日の練習が必要です。そのあとはレベル1A、1B、2と進み、日本の形式の検定を受けます。
1クラスは3〜5人、1回60分で、あいさつ・準備、マス計算、そろばん、暗算、フラッシュ暗算、片づけの順に進みます。1回の授業の流れと、そろばんを始めるのに合った年齢もご覧ください。
よくある質問
暗算(anzan)とは何ですか?
暗算(anzan)は、日本語で頭の中で計算することです。そろばんを習う子どもにとっては、頭の中に想像したそろばんで計算することを指します。珠を思いうかべ、本物のそろばんと同じように「はじいて」、そのイメージから答えを読みます。
日本式の暗算は、ふつうの暗算と何が違いますか?
ふつうの暗算は、一つずつ頭の中で唱え、くり上がりを自分で覚えておく方法です。日本式の暗算はそろばんのイメージを使います。頭の中で珠を動かして答えを読むので、桁の多い数まで伸ばしていけます。
フラッシュ暗算とは何ですか?
フラッシュ暗算は、画面に数字が次々ととても速く表示され、それを頭の中で足していって合計を言う練習です。Kodomo Soroban Centerでは、6回目の授業からフラッシュ暗算を練習します。
頭の中のそろばんで暗算できるようになるまで、どのくらいかかりますか?
Kodomo Soroban Centerでは、4回目の授業から小さな数で暗算を、6回目からフラッシュ暗算を始めます。2桁のたし算・ひき算の暗算には、ふつうレベル0(16回)を終えることと、家での毎日10分の練習が必要です。
そろばんを習わなくても、日本式の暗算は練習できますか?
小さな数ならできます。たとえば「5の点の図」での暗算や、1桁・3口・1.5秒のフラッシュ暗算です。ただ、口数を増やしたり速くしたりして先へ進むには、頭の中の珠のイメージが必要です。つまり、まず本物のそろばんで学ぶことが必要になります。
無料体験で、そろばんを試してみませんか
ハノイ・Vinhomes Gardenia のセンターで、1クラス3〜5人、1回60分。日本で教えているのと同じ方法です。電話・Zalo 096.802.8484。




