そろばんとフィンガーマス、どちらを習う?よく知られた4つの「思考力の算数」を比べる
ベトナムでは、「思考力の算数」(計算や考える力を伸ばす習い事をまとめて呼ぶ、ベトナムでの言い方)という名前で、少なくとも4つのまったく違うものがひとくくりにされています。フィンガーマス、日本式そろばん、フランチャイズのそろばんプログラム、そして論理的な算数です。保護者は「どれも思考力を伸ばします」と説明され、結局は家から近い教室で選ぶことがよくあります。この記事では、4つを同じものさし――道具、扱う数の範囲、年齢、目標――で並べて比べます。広告ではなく、お子さまに合わせて選べるように。
フィンガーマスは、3〜6歳の子が指を使って99までのたし算・ひき算に慣れるのに向いていて、そこで終わります。日本式そろばんは、5歳からもっと先へ進みたい子に向いています。何桁もの数のたし算・ひき算・かけ算・わり算をし、やがて頭の中のそろばんのイメージで暗算します。この2つは「つながり」ません。フィンガーマスを終えた子も、そろばんは最初から始めます。お子さまが5歳以上で、暗算ができるようになってほしいなら、最初からそろばんで始めましょう。
4つの「思考力の算数」は、実際には何?
フィンガーマス(指を使う計算)
フィンガーマスは、10本の指で0から99までの数を表します。片方の手が一の位、もう片方の手が十の位で、親指が5を表します。子どもはルールにしたがって指を折ったり伸ばしたりして、たし算・ひき算を覚えます。いちばんの長所は、道具がいらないこと、3〜4歳の子でも学べること、そして小さな数のたし算・ひき算を「目で見られる」ことです。限界もはっきりしています。扱える数は99まで、かけ算・わり算はなく、小学校に上がると指は使わなくなるので、この技能はそれ以上伸びていきません。
日本式そろばん
そろばんは日本の計算道具で、1本の軸に5の珠が1つ、1の珠が4つあります。子どもは本物のそろばんから始め、2つの入れかえのルール(5の友――5を使って入れかえる、10の友――10を使って入れかえる)を学び、だんだん「頭の中のそろばん」で計算するようになります(暗算)。日本式の指導では、そろばんを姿勢、学ぶ習慣、粘り強さとも結びつけています。そろばんは今も日本の小学3〜4年の算数の教科書に入っており、日本でもっとも人気のある習い事のひとつです。扱う数の範囲に制限はなく、かけ算、わり算、小数もあります。そろばんとは?と日本式そろばんを選ぶ理由もご覧ください。
フランチャイズのそろばんプログラム
いくつかの国際的なプログラム――たとえば1993年にマレーシアで始まったUCMAS――もそろばんを使い、暗算を目指しますが、独自の教材、レベル、大会を持つフランチャイズの仕組みとしてまとめられています。道具の面では、これらのプログラムはそろばんに近いものです。違いは、授業の組み立て方、進むペース、重点(スピードや大会に寄ることが多い)、計算を教える順番にあります。比べるときは、プログラムの名前を見るよりも、どのルールを教えるのか、いつ暗算を始めるのか、1クラス何人なのかを具体的に聞くほうがよいでしょう。
論理的な算数・カリキュラムに沿った思考力の算数
このグループは、そろばんも指も使いません。子どもは文章題、図形、推論、きまりを見つける問題を学びます。シンガポール式の算数や、思考力の算数の大会に近いものです。目標は考え方で、計算の速さではありません。そろばんの代わりではなく、そろばんとよく補い合うグループです。そろばんは計算と集中力を、論理的な算数は推論を鍛えるからです。
比較表:日本式そろばんとフィンガーマス
| フィンガーマス | 日本式そろばん | フランチャイズのそろばん | 論理的な算数 | |
|---|---|---|---|---|
| 道具 | 10本の指 | 1・4珠のそろばん → 頭の中のそろばん | そろばん → 暗算 | 紙、図、ゲーム |
| 扱う数の範囲 | 0〜99 | 制限なし、小数もある | 制限なし | カリキュラムによる |
| 計算の種類 | たし算、ひき算 | たし算、ひき算、かけ算、わり算 | たし算、ひき算、かけ算、わり算 | あらゆる種類の算数 |
| 合う年齢 | 3〜6歳 | 5〜12歳(大人も学べる) | ふつうは4〜12歳 | 幼稚園から中学まで |
| 最終的な目標 | たし算・ひき算に慣れる | イメージによる暗算、集中力、学ぶ姿勢 | 暗算、大会 | 問題を解決する考え方 |
| 全課程を終えるまでの期間 | 数か月 | 約3学年(週1回) | プログラムにより2〜4年 | クラスによる |
| 学校の算数とのつながり | 小学1年が終わると使わなくなる | 小学校のあいだずっと支えになる:位取り、九九、速い計算 | そろばんと同じ | 推論の部分を支える |
そろばんとフィンガーマスの4つの大きな違い
1. 道のり:フィンガーマスは99で止まり、そろばんは先へ進む
フィンガーマスでは、99が両手の物理的な限界です。そろばんでは、軸が1本増えれば位が1つ増えます。13本の軸のそろばんなら、兆の位までの数を表せます。さらに大切なのは、そろばんの数の置き方が数字の書き方とまったく同じ(左から右へ、軸1本に1桁)なので、10までの範囲で学んだことが1,000,000の範囲でもそのまま通用することです。
2. ゴール:指は手に残り、そろばんは頭の中に入る
日本式そろばんの最終的な目標は暗算――そろばんのイメージを使った暗算です。子どもは目を閉じ、珠が動くのを「見て」、答えを読み取ります。日本で行われた脳画像の研究では、暗算に熟達した人は、計算するときに言葉を扱う部分ではなく、視覚・空間を扱う部分を使っていることが示されています。フィンガーマスにはこの段階がなく、指を使わなくなると技能もそこで止まります。
3. そろばんの2つの入れかえのルールは、小学1〜2年の算数そのもの
そろばんで 3 + 4 をするとき、子どもは5を入れて1をはらいます(5の友)。7 + 5 では、5をはらって10を入れます(10の友)。この2つのルールは、小学1〜2年の算数の教科書で教える「数を分ける・合わせる」そのものです。そろばんを学ぶ子が、4は「5から1をひいたもの」だと理解しているのは、先生にそう言われたからではなく、自分の手で何百回もそうしてきたからです。フィンガーマスにも親指=5のルールはありますが、位取りにつながる形で10を使った入れかえまでは進みません。
4. 比較表には書けないこと:学ぶ姿勢
日本式そろばんの授業は、立ってあいさつし、そろばんを正しい場所に置き、背すじを伸ばして座ることから始まり、そろばんを0に戻し、道具を片づけ、お礼を言って終わります。日本の多くの家庭は、まずこの部分のために子どもにそろばんを習わせ、計算の速さはその次です。これは、どの教室でも、体験授業のときに保護者が自分の目で確かめたいところです。
もうフィンガーマスを習った子は、そろばんに移るべき?
はい、そして惜しむ必要はありません。フィンガーマスは「間違い」ではなく、3〜5歳の子がたし算・ひき算に慣れるための良い橋渡しです。ただ、2つの仕組みは数の表し方が違うので、お子さまもほかの子と同じようにレベル0からそろばんを始めます。姿勢、珠のはじき方、数の置き方、そしてそのあとでルールに進みます。有利なのは、「5はひとまとまり」という考え方にすでに慣れていることで、たいてい最初の週は早くなじめます。
最初の2〜3週間に気をつけたいこと:暗算のときに、くせで指を立ててしまうことがあります。先生がやさしくそろばんに手を戻させますので、家ではこの時期、お父さん・お母さんは「速く計算して」と言わないでいただくだけで十分です。
プログラムの名前ではなく、お子さまに合わせて選ぶ:3つの質問
- お子さまは何歳で、どのくらい集中して座っていられますか?
5歳未満で、まだ15分座っていられないなら:数える遊びか、家でのフィンガーマスで十分です。5歳から:ゆっくりしたペースのクラスでそろばん(KSCの幼児クラス)。6歳から:そろばんがはっきりした選択肢です。
- 1年後、ご家庭は何を望んでいますか?
「小学1年に入る前にたし算・ひき算ができるように」なら:フィンガーマスで十分です。2〜3桁の暗算ができ、位取りを理解し、座って学ぶ習慣がつくように、なら:そろばん。推論の問題を解けるように、なら:論理的な算数(そろばんと並行して学べます)。
- その教室では、いつから暗算を教えますか?
この質問で、良いそろばん教室と、珠をはじくことしか教えない教室を見分けられます。日本式では、4回目の授業から小さな数で暗算を取り入れます。教室の答えが「1年後」なら、よく考えてください。
よくある質問
フィンガーマスとそろばんは、どう違いますか?
フィンガーマスは10本の指を使い、99までの数を表せて、たし算・ひき算だけを扱います。3〜6歳の子に向いています。そろばんは1・4珠のそろばんを使い、扱う数の範囲に制限がなく、かけ算・わり算もあり、ゴールは頭の中のそろばんのイメージを使った暗算です。5歳からの子に向いています。
フィンガーマスを先に習ってから、そろばんを習うべきですか?
その必要はありません。2つは順番につながるものではなく、フィンガーマスを終えた子もそろばんはレベル0から始めます。お子さまが5歳以上なら、最初からそろばんで始めてかまいません。
そろばんとUCMASは同じですか?
どちらもそろばんを使い、暗算を目指します。違いは、授業の組み立て方、進むペース、重点(大会か、学ぶ姿勢か)、計算を教える順番にあります。その教室が具体的にどのルールを教えるのか、いつ暗算を始めるのか、1クラス何人なのかを聞いてみてください。
そろばんを習ったら、論理的な思考力の算数も必要ですか?
2つは互いに補い合います。そろばんは計算、位取り、集中力を、論理的な算数は推論と問題解決を鍛えます。週の予定が詰まりすぎなければ、並行して学んでいる子もたくさんいます。
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